これまで過去3回に渡り、高配当銘柄を集めたETFである「VYM」「SPYD」「HDV」をそれぞれ分析してきました。
今回は、「米国株 高配当 ETF のおすすめ・比較 【SPYD】【VYM】【HDV】」について、書いていきたいと思います。
目次
米国高配当株式ETFの株価推移
リーマンショック以降の株価推移を比較していきます。
ちなみに、VYMは2006年、SPYDは2015年、HDVは2011年にそれぞれ組成されています。従って、VYMを元にし、SPYDとHDVそれぞれの組成時点をVYMの株価に合わせ、そこからの変動率を表したのが上のグラフになります。
先ず言えるのは、VYM > HDV > SPYDの順で、コロナショック後に株価が戻っていることです。理由は、下記で見ていくように、含まれる銘柄の業種割合が異なるためと思います。
次に、3つの銘柄が揃う2015年以降、株価の上昇率は、VYM > SPYD > HDVの順で高いことです。これは、前述したコロナショック後の戻り率とは順番が異なります。
VYMはどちらも一番のパフォーマンスを見せています。SPYDはコロナ前の上昇率ではHDVを上回っているものの、コロナからの回復はHDVより劣っていますね。
米国高配当株式ETFのポートフォリオ構成
次に、各ETFのポートフォリオ構成を見ていきましょう。
業種別比率
業種別で見ていくと、それぞれのETFで構成が異なることが分かりますね。
VYMは、それぞれの業種がバランス良く組み込まれています。
SPYDはヘルスケアがやや少ない一方、不動産が最も多いです。上述したコロナショック後の株価の戻りが鈍いのは、これが最大の理由でしょう。
REIT、特にホテルや小売のテナント、更には特にTier2以下のオフィスものは、まさにこれからコロナの影響が大きく出てくるところです。
HDVは、ヘルスケア、オイル・ガス、テレコムが多いのが特徴ですね。VYMよりコロナ後の株価戻しが弱いのは、主にオイル・ガスのパフォーマンスが良くないからでしょう。
原油は、価格が一時的にマイナスになる等ボトムは抜けた感があります。しかし、コロナによる外出規制・自粛から徐々に再開方向に向かっているものの、第二波が来ることで再び経済が縮小し、オイル需要の戻りが更に遅くなる可能性があるわけです。
組入銘柄トップ10
組入順位/銘柄 | VYM | SPYD | HDV |
1 | Johnson & Johnson | Gilead | Exxon Mobil |
2 | JP Morgan | General Mills | AT&T |
3 | P&G | AbbVie | Johnson & Johnson |
4 | Intel | Digital Realty Trust | Chevron |
5 | Verizon | Crown Castle | Verizon |
6 | AT&T | Pfizer | Pfizer |
7 | Pfizer | Dominion Energy | Cisco |
8 | Merck | Kraft Heinz | Merck |
9 | Exxon Mobil | Kellogg | PepsiCo |
10 | PepsiCo | Verizon | Coca cola |
組入上位トップ10を見てみると、ここにも各ETF毎の特徴が現れています。
VYMは1-3位がヘルスケア、金融、消費財のそれぞれトップ企業で固められていますね。業種もしっかり分散されています。
SPYDは同じヘルスケアでも新興と言えるGilead、そして4-5位は不動産(REIT)ですね。J&JやP&Gのようなアメリカを代表する連続増配銘柄は入っていませんが、それぞれ利回りが高い銘柄です。
HDVはExxonやChevronというオイル・ガス銘柄が上位に来ています。VYMと同じく、連続増配銘柄が多く含まれているのも特徴と言えるでしょう。
ちなみに、3つのETF全てで上位10に入っている銘柄は2つあり、テレコムのVerizonとヘルスケアのPfizerです。どちらもまだ10年程度の連続増配ですが、配当利回りが4%を超えていて高いのが特徴と思います。
米国高配当株式ETFの配当
一株当たり配当額
配当額は株価との比較が必要なので、下記の利回りを見る必要があります。が、配当額の増減は見る価値があるでしょう。
その配当額の増減を見てみると、VYMは連続増配している一方、HDVとSPYDは増減していることが分かります。ここにも、ポートフォリオの特徴が表れていますね。
配当利回り
配当利回りをみると、SPYD > HDV > VYMとなっています。配当の安定性や株価のパフォーマンスと逆の結果になっています。
米国高配当ETFの基本情報
銘柄 | VYM | SPYD | HDV |
経費率 | 0.06% | 0.07% | 0.08% |
組入銘柄数 | 393 | 70 | 75 |
運用総額 | $24B | $1.7B | $5.9B |
トップ10組入銘柄の割合 | 28.1% | 21.3% | 61.2% |
それぞれの基本情報を見ると、先ず気づくのは経費の微妙な差ですね。
いずれも低いのですが、ETFを創ったVanguard社のVYMが最も低い0.06%、それにState StreetのSPYDが0.07%、BlackRockのHDVが0.08%で続きます。
一般的に運用総額が大きければ大きいほど経費は低いですよね。VYMの総資産は他2つと桁が1つ違う$24Bとトップです。
ちなみに、何故運用総額が大きいほど経費が低くなるかと言えば、運用総額と経費の多くを占める担当者の数は比例するわけではないからです。$1.7Bから$24Bに運用総額が増えても、担当者の数や合計給与が15倍にならないですよね。
他に見るべきポイントは、VYMは組入銘柄数が他2つの5-6倍あり分散されている一方、HDVはトップ10の銘柄に60%超もの投資がし集中していることでしょうか。
米国高配当株式ETFのまとめ
今回は、「米国株 高配当 ETF のおすすめ・比較 【SPYD】【VYM】【HDV】」について書いてきました。
それぞれポートフォリオの特徴が異なっており、それが株価と配当のパフォーマンスに違いとして出ていることが分かり、面白かったですね。
米国高配当株式ETFのまとめ
- コロナショック前までの株価上昇、ショック後の回復で最もパフォーマンスが良いのはVYM。
- VYMは幅広い業種にバランス良く、SPYDは不動産銘柄の比率が高く、HDVはオイル・ガス、ヘルスケア、テレコムの割合が高い。
- アメリカを代表する連続増配銘柄を多く含むのは、VYMとHDV。
- 配当利回りが高いのは、SPYD>HDV>VYMの順。逆に、増配の安定性が高いのはVYM。
- VYMの組入銘柄は他2つの5-6倍で、銘柄数の分散率が最も高い。一方、HDVはトップ10銘柄の割合が、60%を超えて集中。
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先ずは、VYMの専用記事です。
バンガードが運営する高配当株を集めたETF【VYM】。配当利回り や構成銘柄の分析も
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