ADP社が、2020年4月のアメリカ国内における雇用レポートを出しました。
雇用状況は経済、ひいては株価にも影響してくるので、内容を見ていきましょう。
2020年4月の失業者数は2,023万人
なんと、4月の失業者は2,023万人にものぼります。3月の失業者数は149万人だったので、1ヶ月で約14倍増えたことになります。
直近1年で見ると、安定的に雇用が増えていたのが、コロナショック以降の3月に減少に転じ、そこから急転直下していることが分かります。

ADP社HPより引用
しかし、データポイントを更に遡って比較すると、更に衝撃度が大きいです。リーマンショックのあった2008年を挟む、2003年からのグラフを見てみましょう。
リーマンショック時の失業者数の増加でグラフが凹んでいますが、それがまるで平らに見えますねw リーマンショック時と比較しても、異次元の失業者数です。

ADP社HPより引用
失業者数の内訳
続いて、その内訳を見てみましょう。
従業員規模毎の内訳
「資金繰りが一気に厳しくなった中小企業の従業員が大半ではないか?」と思った人もいるのではないでしょうか?私はそうでした。
しかし、内訳を見ると、従業員数500名の大企業(ここでは大企業の定義は、ADPのレポートに従いましょう)の割合が、44%と最も大きいのです。
確かに、例えば航空関連や小売の大企業では、人員整理やチャプター11の申請が報じられています。これらの企業は、抱える従業員数が多いため、企業数自体はそれほど多くなくても、影響は大きいのかもしれません。

ADP社レポートより引用
業種毎の内訳
業種毎に見ると、サービス業が8割を占めています。

ADP社HPより引用
その中でも最も大きいのが、「レジャー・ホスピタリティ」業界です。これは、観光業や飲食業が含まれています。まさにコロナショックによる外出自粛の影響を直に受けている業界です。

ADP社レポートより引用
まとめ
今回は、ADP社が出した「2020年4月の雇用レポート」を見てきました。
今回のコロナショックを受け、アメリカ政府は2兆ドル/220兆円もの景気刺激策を打ち出しました。それもあり、失業保険にて週600ドルを受け取れるため、普通に働くよりも解雇されて失業保険を申請した方が、多くのお金をもらえる人も少なくありません。現在はそれが7月末まで適用される予定です。
しかし、経済や景気が7月末までに戻るとは考えにくく、フルで雇用は戻らないでしょう。
従って、第二弾以降のアメリカ政府による追加の景気刺激策によって、「現在の失業保険適用がいつまで続けられるか」、「雇用がいつから、どういうペースで回復するのか」、そして「これから出てくる様々な業種での失業者数の伸び」が今後の注目ポイントと考えています。
2020年4月雇用レポートのまとめ
- 4月の失業者数は、2,023万人。3月の14倍。
- リーマンショック時と比べても、異次元の多さ。
- 500名以上の大企業が44%、サービス業が全体の8割を占める。
- 最も多いのは、「ホスピタリティ・レジャー」業界で、860万人。
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